b型肝炎について感染経路など、多くの人が不明に感じていることを紹介します

b型肝炎に感染すると肝炎や肝硬変など、肝臓の病気を引き起こす可能性が高くなるため注意が必要です。ところでb型肝炎について耳にすることは良くありますが、どのような病気かについて不明に感じる人も少なくありません。

病気のことを良く知らなければ、誤解や差別などにつながってしまいます。ここではb型肝炎について特徴や感染経路などについて紹介します。


b型肝炎とは

b型肝炎とは、b型肝炎ウィルスによって発症する急性肝炎のことです。ただしb型肝炎ウィルスに感染して急性肝炎を起こしても、ほとんどの人は症状も軽く1~2カ月程度で完治するといわれています。またb型肝炎ウィルスに感染した人がすべて急性肝炎を発病するわけではなく、症状が出ないまま治癒する不顕性感染の患者の方がはるかに多いです。

b型肝炎というと非常に怖いイメージがありますが、大部分の患者ではそれほど重症化しない病気なのです。これを聞くとちょっと安心できますよね。ところが、急性肝炎を引き起こした人の2%程度が重症化するといわれているため注意が必要なのです。

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b型肝炎の疫学

2002年における世界保健機関の推計では、b型肝炎ウィルスに感染している人は世界中で約20億人であり、b型肝炎ウィルス持続感染者は約3.5億人、そのうち年間50~70万人の人がb型肝炎ウィルス関連疾患で死亡していると報告されています。

またアジアやアフリカの中には、人口の8%以上がb型肝炎ウィルスキャリアである国も存在します。一方で、日本やヨーロッパや北米などの先進国では、感染頻度2%以下と低くなっています。

b型肝炎の臨床症状

急性b型肝炎は比較的緩やかに発病します。まずは微熱程度の発熱や食欲不振、全身倦怠感や悪心嘔吐、更には右季肋部痛や上腹部膨満感などの症状がみられます。そして、人によっては黄疸が認められるようになります。黄疸が現れるのは成人で約3~5割、小児に関しては1割以下とされています。

これらの症状は重症化しなければ、1カ月程度で回復します。また宿主の免疫機能に異常がなければ、b型肝炎ウィルスは生体から排除され、持続感染してキャリア化することはほとんどありません。ところが免疫機能が十分に発達していない乳幼児や、消耗性疾患や末期癌といった宿主の免疫機能が低下した状態や、免疫抑制剤の投与を続けている人などが感染してしまうと、キャリア化へ移行することがあります。


肝炎が起こる仕組み

b型肝炎のようなウィルス性の肝炎は、体内に侵入した肝炎ウィルスが直接肝細胞を破壊して発症するわけではありません。肝臓に侵入して増殖を始めたウィルスをやっつけようとしてTリンパ球という細胞が働きます。そして肝炎ウィルスが住み着いてしまった肝細胞を攻撃します。

それによって肝臓に炎症が生じ、肝細胞がどんどん破壊されてしまうのです。つまり自分自身の免疫機能が働いて肝臓に炎症を起こすわけですが、もし肝炎ウィルスが完全に排除されれば肝炎は治ります。

b型肝炎の正体

b型肝炎ウィルスはDNA型のウィルスであり、ヘパドナウイルス科に分類されます。DNA型ウィルスとは、ゲノムとしてDNAをもつウィルスのことであり、DNAからポリメラーゼと呼ばれる酵素を利用して、メッセンジャーRNAを合成します。

そしてそれをもとにして、タンパク質を合成し増殖していく性質を持ちます。b型肝炎ウィルスは、直径約42ナノメートルの球状ウイルスで、外を覆うエンベロープと内部のコアの二重構造をもっています。ここでいうエンベロープとは、中身を包む封筒のようなものです。

そしてエンベロープをHBs抗原、コアをHBc抗原と呼んでいます。内部のコアの部分にDNAやDNAポリメラーゼと呼ばれる物質が含まれます。そしてコアの中には芯の部分があり、そこをHBe抗原と呼びます。

b型肝炎の感染経過

b型肝炎ウィルスに感染してしまうと、抗原はHBs、HBe、HBcの順番で陽性化していきます(ただしHBc抗原は検査では検出できません)。一方抗体はHBc、HBe、HBsの順番で陽性化します。この場合は抗原が陰性化した後に、交代が陽性化する経過をたどっていきます。

更にHBs抗原と抗体、HBe抗原と抗体は相互に影響されないため、独自の陰転化率を形成します。

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b型肝炎の検査

b型肝炎の検査は、b型肝炎の正体やb型肝炎の感染経過で示した通り、HBs抗原・抗体、HBe抗原・抗体、HBc抗体、DNA、DNAポリメラーゼ活性の測定によって実施されます。b型肝炎ウィルスに感染していると、エンベロープの部分であるHBs抗原が持続的に産生された状態になります。

そのため、HBs抗原が陽性だと現在b型肝炎に感染していると診断できるのです。最近は検査技術が発展したことによって、HBs抗原測定の感度が非常に向上しています。そのため、HBs抗原を測定することでb型肝炎ウィルスの感染者を見出せるようになりました。

b型肝炎の感染経路

b型肝炎の感染経路は、垂直感染や水平感染があります。また非経口的感染であり、血液や性行為などを通じて感染します。b型肝炎の主な感染経路は垂直感染といわれていて、母親から新生児への産道感染です。これはb型肝炎ウィルスキャリアの成立に関わり、持続感染としてとても重要です。

最近ではb型肝炎ウィルスキャリアの母親から生まれた新生児に対して、b型肝炎ウィルスのワクチン接種とb型肝炎ヒト免疫グロブリン注射が一般化されているため、垂直感染によるb型肝炎の発症率は減少傾向にあります。

水平感染ではb型肝炎ウィルスキャリアでHBe抗原陽性の人と性的な接触をしたり、医療従事者の針刺し事故であったりするのが主な感染経路です。また、輸血でもb型肝炎に感染する可能性があります。このようにb型肝炎では垂直感染や水平感染がありますが、中にはどこで感染したのか不明なケースもあるようです。

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b型肝炎の予防

b型肝炎の感染を予防するためには、感染経路を絶つことがとても重要です。具体的には、輸血用血液や血液製剤のウィルス検査が挙げられます。また、b型肝炎ウィルスのワクチン接種も有効です。日本では1985年にb型肝炎ウィルスのワクチンが認可されました。

ワクチンは母子感染防止だけでなく、医療従事者など感染リスクが高い人たちへの予防にも有効です。またかつては、b型肝炎ウィルスキャリアの血漿より精製された第一世代のワクチンが用いられていましたが、最近では組換えDNA技術を応用して作られた第二世代のワクチンが用いられています。